EMS仕様のXJR1300がレッカー入庫・・・その4

XJR1300の充電不良は 新品のオルタネーターへの交換で治りました
しかし、充電電圧が低いような気がします・・・

原因は 車両ハーネス側に有りました
2000年式のXJR1300ですから ハーネスもそれなりに劣化(酸化)しています
場所はここ!
オルタネーターと車両ハーネスを接続するカプラーです
発熱した形跡が見られます

IMG_20230701_164928005640.jpg

写真のような状態で エンジンを始動して10分くらい暖気しました
裸にした端子を手で触ると 「熱い」!こんな状態です
電気が流れるところで発熱・・・ 一種の電熱器状態です
接触面積の減少や 配線の酸化などで回路の抵抗が増加して 
そこに電流が流れて電圧が発生して その分の電圧降下ですね
クランプメーターで 電流を計測すると約10A流れています
電圧降下分は 約1Vでしたので1V×10A=10W分発熱している計算です
10Wの電球玉が点灯しているときは おそらく熱くて触れないでしょうね!
回転数が上がれば もう少し電流が増えると想像できますので 発熱も増えるでしょう・・・

対策は 車両配線図を見て 純正の回路に影響が無いように
新たに別配線で充電電流が流れる回路を新設します
その結果が 前回のブログでも紹介した 13.28Vから14.34Vに上がった分けです!

この状態で試運転しました
このXJR1300も私のBANDIT1200同様 
キャブレター仕様から インジェクション仕様に変更していますので
EMSのデーターロガーが使用可能です ロガーONで走ってきました

ログです 見やすいように表示項目を減らしています

IMG_20230702_150456501640.jpg

白色がエンジン回転数 赤色がスロットル開度 緑がバッテリー電圧です
正確には EMSフルコンの電源電圧ですが バッテリー電圧表示に較正しています

緑色の低いところはアイドリング回転数 1150rpmで13.3V
それ以外の走行中のところは 14.7V~14.9Vです
このデーターなら問題ありませんので 納車です!

tag : 電圧降下

EMS仕様のXJR1300がレッカー入庫・・・その3

XJR1300の充電不良の修理です

新品のオルタネーターが入ってきました 高いですね~
入庫したXJR1300は 走行距離30000kmほど・・・
この距離で故障ですからね~ 中古品も考えましたが 
新品にかなうものは有りませんから

さて、早速装着してエンジン始動です

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取付はネジ3本ですからね~ あっと言う間につきます(笑)
古いオルタネーターと波形を比較してみましょう  同じようにオシロスコープと電圧計をセットして・・・

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波形を比べると同じですね ただ充電電圧が違います 13.28Vに上がりました
この波形から レクチファイヤーとステーターコイルは やはり大丈夫でしたね
ローターコイルは基準値から外れていまたのでダメ、 レギュレターはというと ?です

本来ならここで終了ですが 13.28Vって低くないですか?
ここから一ひねりします・・・(笑)

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ほらね!
14.34V 約1V上がりました 
計測時の回転数は 約1800rpmで計測しています

仕事が立て込んできましたので 次回に続きます

tag : 電圧降下

EMS仕様のXJR1300がレッカー入庫・・・その2

先日、レッカー入庫したXJR1300です

お客さんとの相談で・・・
ステーターとレクチファイヤーがダメなら 新品ASSY交換で行きましょうと・・・
両方で¥60000はしますので そうなりますよね~

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オルタネーターを外して分解 ローターコイルを計測しました
1.2Ωです 基準値は2.75~30.5Ω ダメですね・・・

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レギュレターも机の上で ローターコイルを電球玉に見立てて作動させてみました
安定化電源を使用して 電圧を変更してテストはしまして 動いているようですが
なんせ 整備書に点検方法やデーターは有りませんので 正常かどうか?
これでは 良否の判断ができません・・・
結局、オルタネーター新品のASSY交換することになりました

ついでに この辺の配線も私なりに修理ではなく、改善しておこうと思います

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赤色が オルタネーターの出力線です 熱で被覆が硬化して銅線が見えています
銅線も 酸化が進んでいるように見えますので 今後のために改善しておこうと思います
その為 この部分のカプラーや端子も発注しました

EMS仕様のXJR1300がレッカー入庫・・・その1

当社でフューエルインジェクション仕様にした XJR1300がレッカー入庫しました

連絡が有ったとき 何かインジェクション関連に不具合でも・・・ こんなことを考えます
連絡では走行中に停止して スターターモーターも回らない、ホーンもならないとのことです
キーをOFFからONにしたとき 2~3秒インジェクション用の燃料ポンプが作動しますが これも回らない・・・
この状況で バッテリー上がりを想像しました
バッテリーを買って帰ろうか? こんな話も出ましたが 
ツーリング中のバッテリー上がりですから 充電不良の可能性が高いです
充電していなければ 燃料ポンプの電力消費で バッテリーの電気を使い果たして
また、途中で止まる可能性も十分考えられます
そんなことで レッカーで入庫することになりました

入庫して真っ先に バッテリー電圧を計測です
これではスターターも回りませんね・・・
キーをOFFからONにして 燃料ポンプは回りません 
正確にはポンプリレーは この電圧でも作動はして燃料ポンプは回ろうとはしています
このようなことから インジェクション関連は異常なしと思われます

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バッテリーは年末に交換しているとのことで 予想通り充電不良のようです
4時間ほどバッテリーを充電して 始動前に車両をチェックします
キーOFFでの待機電流を計測しましたが 問題ありません
エンジンを始動です 簡単にかかります 他は異常無いようです
ここからじっくり調べます
XJR1300は オルタネーターに簡単にアクセスできますね~

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オシロのプローブをセットして 電圧測定用にテスターも
まず、エンジン停止状態で キーもOFFです

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充電完了していますから これぐらいでしょうね・・・

さてエンジンを始動します

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電圧が12.15・・・
やっぱり充電回路がおかしいですね~
整備書ではステーターコイルの抵抗値を計測するようになっていますので計測しましたが 範囲内です
ローターコイルの抵抗値は未計測ですが ローター交換となると価格もね~・・・
整備書の検査項目はこれだけ・・・
ボルテージレギュレーターの部品設定は有りますが これの点検方法は掲載無し・・・
オシロで波形を見ると ステーターコイルとレクチファイヤーは大丈夫そうです
ただ充電電圧が低い・・・ レギュレーターもしくはローターが怪しいのですが? 
ローターとレギュレターが不良だったら新品ASSY交換の方が間違いないし・・・

XJR1300は充電コイルがエンジンに組み込まれているような方式ではなく 
別にオルタネーターとして取り付けられている方式で
構造から ローターコイルをレギュレターで制御して充電電圧を決めているようでな方式ですね

お客さんと相談して修理方法を決めます

tag : フルコンEMSエンジンマネージメントシステムインジェクション充放電

XJR1300のEMS仕様 大気圧補正の追加 

XJR1300のEMS仕様が入庫しました
先日、アイドリング回転数制御を オープンループからクローズドループに変更しまして
その時 今まで大気圧補正に使用していた MAPセンサーを
エンジンのマニホールド負圧センサーとしてエンジン負荷の検出に使用してしまいました
そのため 今回、予備のMAPセンサーを大気圧センサーとして追加します

以前は、大気圧補正を使用していましたから 大気圧を検出するセンサーを追加するだけです

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まずは EMSのポートへMAPセンサーを接続する配線を入れなければなりません
分解して 配線を追加して組付けて完了です
ついでに 今回の資料作りに必要なメモを取ります

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MAPセンサーを取り付けます
小さなセンサーですから 簡単に取り付けできます
それより 結線作業の方が大変ですね!

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右下の黄色の丸の中のセンサーがマニホールド負圧センサーです
青いシリコンホースがマニホールドまで伸びています
左上の黄色の中が 大気圧センサーとして使用している MAPセンサーです
これは 大気圧を拾いますので どこにもホースは接続しません

さて、結線と装着は終わりました セッティングソフトの方で 気圧補正を行う設定を行います
ここで センサーのキャリブレーションを行います
センサー特性を調べないとね~
具体的に どれぐらいの大気圧の時 何V出力するセンサーか
これが分からなければ 大気圧が分かりません 
センサーによって 特性は変わります 使用したセンサーのデーターシートが有れば良いのですが
自動車やバイクメーカーはほとんど出してくれません

そのため 計測します
現在の気圧は ネットで調べれば出てきますので この値を使用します
調べたら 100.57kpaで この時のセンサー出力電圧は 3.599V

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MAPセンサーの出力特性は 一般的に直線的に出力されますので もう1点分かれば計算できます
なるべく、離れていた方が誤差が少なくなるので・・・
エアコンのガスチャージに使用する 真空ポンプで較正します
真空度が問題になりますが これ以外良い方法が浮かびませんので・・・
それにエンジンが エンジンブレーキ時でも真空状態になるとは思えません
ここまで負圧にならないと言うことで 限りなく離れたところでサンプリングします
真空ポンプをセットして・・・

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0kpaの時、センサー出力は 0.650Vで 先ほどの100.57kpaの時の3.599V
この2点のデーターを使用して 計算します
EMSの設定入力は 0Vの時と5.0Vの時の圧力値を入力するようになっていますので
EXCELで計算させ 値を入力すればOKです 

おまけの機能として 一ひねりしておきました
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大気圧用MAPセンサーの代わりに 黄色の中の可変抵抗の配線に刺し替えれば・・・
ダイヤルを回すことで 手動で大気圧をごまかせることになります
当然、燃調が変更できますね!
気圧補正ですから マイナス側(薄くする側)へになりますが
設定次第では プラス方向へも可能です

一ひねりすると こんなこともできますよ・・・(笑)
プロフィール

YSD yoshi

YSD yoshi
車やバイク用の点火チューニングパーツ、V-UP16やマルチスパークアンプMSAの製造販売、当社のエンジンマネージメントシステムEMSフルコンを使用して キャブ仕様からインジェクション仕様への変更も行ったりしています

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